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2022年09月01日掲載

サウジアラビアの産業と将来性

昨年、サウジアラビアの外国直接投資(FDI)は10年以上ぶりの高水準に達し、急激な上昇を遂げました。
今年3月にサウジアラビア中央銀行が発表したデータによると、サウジアラビアへのFDIの流入総額は193億ドルで、2010年以来最高を記録したとのことです。(なお,2021年度における日本の直接外国投資額は、約273億1500万ドルでした。)
このように昨年サウジアラビアへのFDI総額が急増した主な要因は、国営石油会社サウジアラムコが石油パイプライン事業体の株式124億ドルを、EIG Global Energy Partners LLCが率いる投資家に売却した取引だったと言われています。

とはいえ、この石油パイプライン事業の取引がなくても、サウジアラビアへのFDI流入額は2016年以来の高水準に達していた可能性があります。
今年6月末にサウジ投資省が発表したところによると、2022年第一四半期のFDI流入額は前年同期比9.5%増を記録し、既に19億7000万ドルに上っているといいます。
2021年下半期に、サウジ投資省が2020年同期比で3倍以上にあたる3,300件以上の外国投資ライセンスを新たに発行したことも大きな理由でしょう。

サウジアラビア政府が昨年発表した新たな国家投資戦略では、2030年までに年間1,000億ドル以上のFDI目標が掲げられています。
すなわち、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の脱石油依存・産業の多様化というビジョンの達成は、サウジアラビアが今後どれだけの外国投資を呼び込めるかにかかっているところがあります。
具体的には、2030 年までに国内総生産への寄与率を 5.7%に引き上げるという政府のFDI 目標を達成するには、今後 8 年間で経済規模を 2 倍以上に拡大する必要があり、目下サウジアラビアでは、より多くの投資を誘致し、国際企業に同国内でより大きなプレゼンスを築くよう説得するために、インセンティブを提供し、規制を見直し、経済特区を創設する計画も進められています。

今年3月の時点で、ブルームバーグの取材に対し、政府の投資促進機関である Invest Saudi の関係者は、「昨年、市場の大きさやその他の機会に惹かれて多くの多国籍企業がサウジアラビアに地域本部を設置した」と答え、匿名の政府関係者も、「2022年にはFDIの根本的な成長が加速されると予想しています」と述べていました。
それから数か月が経った今、その予想が正しいことが証明されつつあります。

新しいインフラ・プロジェクトがどんどん進展しています。
2022年以降には、急成長する新興企業のエコシステムに魅力を感じた中小企業など、より多くの企業がサウジアラビアに進出することが予想されており、これは日本企業にとっても大きなビジネスチャンスです。

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