2023年08月21日掲載
サウジアラビアのクリエイティブハブ、Ithraが5周年を迎える
- 文化
「Inspiring Hearts. Enriching Minds(心を動かし、心を豊かに)」をモットーに、アブドゥルアジーズ王世界文化センター (Ithra)はこの5年間で、その名にふさわしい文化ハブへと変貌を遂げました。
開館5周年を迎えた同センターは、開館以来350万人以上の来館者を迎え、2万件のオリジナルプログラムやアクティビティを開催してきたといいます。現在までに、Ithraは48の公演を行い、26の国内外の賞を受賞し、20の博物館展示を開催しています。またソーシャルメディアプラットフォームでは約120万人のフォロワーを獲得し、23の映画を制作しました。Ithraへは9,000人のボランティアが参加しています。
Saudi Aramco社が主導するIthraは、5年前にSalman国王によって発足され、同年、TIME誌の「2018年世界で最も偉大な100の場所」リストに掲載されました。同誌は「(Ithraの)印象的なフォルムは砂漠から295フィート(約3.6メートル)の高さにそびえ立っているが、決して蜃気楼ではないのだ」とIthraを評価しています。
王国として統一されてから6年後の1938年、後に “繁栄の油井”と名づけられた7号井戸が黒い液状の金を掘り当てたとき、世界とともにこの地域全体が変貌を遂げました。その直後、石油都市として知られているダーランで最初に石油が発見された井戸は枯渇してしまいましたが、Aramco社はその勢いを持続させるために、同じ土地に象徴的な石油展示場を建設しました。この石油展示場は、90年代の学生や関心を持つ大人たちに、時代を超えて石油の旅を示すインタラクティブな展示に没頭する機会を提供し、数十年にわたってダーランのメイン・アトラクションとして機能しました。
さらに最近では、その展示はより現代的な感覚に軸足を移し、石油から多角化し、エネルギー展示へとその目的を拡大しました。
Ithraはそのスペースを中心に作られました。Ithraの中を歩けば、“新しいサウジアラビア”を変えた人々の足跡をたどることになります。象徴的な意味があちこちにある、重層的な土地だと言えます。
今やIthraの象徴となったビル群は、夜になると光り輝き、周囲に投影された光が踊ります。その反射は、日中の太陽を映し出し、地域の景観を引き立て、活気づけています。Ithraはまた、ダーランの非公式なビジュアル・シンボルであり、東部州の宝石でもあるのです。
Aramco社の多くの取り組みと同様、Ithraは、その土地が持つ天然資源の延長として建設されました。さらに重要なのは、同センターが想像力とイノベーションを原動力とする、エネルギーを生み出すための建物であるということです。
ノルウェーの建築事務所Snohetta社は、Aramco社主導のコンペでIthraの設計を担うこととなりました。以前、同社はエジプトのアレクサンドリアにある象徴的な図書館、アレクサンドリア図書館を設計しています。Ithraは当初、インタラクティブな図書館として構想され、現在もその中核をなしていますが、この施設はさらに多くの機能を網羅するまでに成長しています。
Ithraの複合施設には、4階建ての図書館に加え、レストランやワークショップ・スペースを備えた18階建てのタワー、3階建てのアイデア・ラボ、エネルギー展示室、5つのギャラリー・ミュージアム・スペース、315席の映画館、900席の舞台芸術劇場、1,500平方メートルの大ホール、子供博物館、モスク、屋外のLush Gardenがあります。この建物はLEED認定を受けており、持続可能性への取り組みに対する称賛を集め続けています。
Ithraのプログラム・マネージャーであるNoura Al-Zamil氏は、ダーランで育ち、子供の頃は石油の展示会によく出入りしていたと言います。Ithraの象徴的なデザインについて、彼女は「この建物は、東部州の中心にある建築の宝石であり、その由来である7号井戸という土地と、それを取り巻く社会やコミュニティに対するAramco社の役割だけでなく、私たちが目指す未来をも表しています」と語っています。
Ithraとの旅を始めて12年になる今日、Al-Zamil氏は、この場所が発展し、形成されていく様子をリアルタイムで見てきました。彼女はまた、Ithraが地元の若者を巻き込むことによって、故郷や愛するコミュニティをどのように変容させ、活性化させてきたかを実感してきました。
「Ithraは常に、私たちのコミュニティと、より広いサウジのクリエイティブ産業に貢献するというビジョンを持っていました。5年前に一般公開されて以来、そのビジョンは変わっていません」とAl-Zamil氏は言います。
「私たちは、王国の文化的で創造的なエコシステムの鼓動する中心地で皆様をお迎えすることを、これからも楽しみにしています。ここはまさにイマジネーションが生まれ、アイデアが生まれ、知識が共有され、文化が称賛される場所なのです」と彼女は締めくくりました。
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